同じ自発光型テレビとして高い評価を受けたパイオニアのプラズマテレビ“KURO”の開発を担当したオンキヨー&パイオニアテクノロジー株式会社 西尾正昭氏を迎え、レグザの高画質技術の開発を担当する住吉肇が、新しい4K有機ELレグザ「X910シリーズ」の映像美と、これからの4Kテレビに求められる「真の高画質」とは何かを語り合った。
“KURO”の開発者も認めた4K有機ELレグザが誕生
--パイオニアが2009年まで展開してきた“KURO”シリーズは、今も銘機として語り継がれているプラズマテレビだ。“KURO”の開発者の西尾氏が、最初に4K有機ELレグザ「X910シリーズ」の画質を目の当たりにした印象は。
西尾氏:レグザの映像からはいつも、東芝が積み重ねてきた高画質化技術や、理想の映像を真摯に追求してきた開発者のポリシーを感じます。これは遂に、自分が欲しかった高画質なテレビが誕生するぞという実感が沸いてきて、とてもワクワクさせられました。
東芝のレグザX910シリーズは“KURO”の画質をよく研究され、東芝の持つ映像信号処理技術で有機ELの良さを引き出したと感じました。レグザX910シリーズはこれまでに見てきたテレビとは格段に違う商品になると確信しています。
住吉:自発光型の有機ELは漆黒を再現しやすいディスプレイですが、実は黒よりもわずかに明るい「暗部の階調性」を丁寧に見せることがとても難しいデバイスです。おそらく同じ自発光デバイスの “KURO”を開発されてきた方々も、この部分はご苦労されたのではないでしょうか。X910シリーズでは、これまでのレグザが積み重ねてきた映像信号処理のノウハウを活かして、エンジン内部のビット処理を高めることで、暗部もきめ細やかに再現しています。
液晶との違いは確かな明暗の再現力
--テレビを開発するエンジニアたちが考える有機ELの魅力とは。
西尾氏:自発光型ディスプレイである有機ELは、光量のコントロールがパネルの駆動制御だけで行えるので、個々の画素単位でより深い黒が再現できます。パネルとバックライトの駆動制御を同時に行わなければならない液晶に比べて、映像の作り手の意図がよりストレートに伝わってくる魅力があります。またプラズマテレビ同様、低輝度部分の色が繊細に再現できるのも有機ELの強みです。
住吉: X910シリーズでは高いピーク輝度と濃密な黒の高いコントラストを、新たに開発した映像処理エンジンで制御することで、映像の明部と暗部を検出し、局所的な黒つぶれと白とびを抑制することで、自然で豊かな階調表現を実現しています。
映画や音楽コンテンツで際立つ美肌の再現力
--映画、音楽コンテンツを、4K有機ELレグザ「X910シリーズ」で視聴した感想を語った
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西尾氏:漆黒の宇宙空間に浮かぶ星の輝きや色合いがとても自然に再現できていると思います。暗いシーンではノイズがざわつくこともありません。人の肌は低いトーンの色がとても自然に感じます。「美肌リアライザー」の実力ですね。また、暗い部屋で見ても目が疲れないことに驚きを感じました。さまざまな理由があるのだと思いますが、おそらくはちょうど良い明るさで自然な画づくりができているからだと思います。音楽コンサートの映像をみても、まるで自分が映像の中に入り込んで、その場にいるような没入感があり会場の雰囲気がリアルに伝わってきますね。
住吉:明部の中の肌色を検出して、そこから階調を作り込むことで、リアリティのある肌の質感を再現しています。
また本来、音楽ライブの空間には「ノイズ」は存在していません。そのライブのリアリティを再現するために、適切な参照フレームを選択し、ノイズ処理を行うアダプティブフレーム超解像技術で丁寧に抑え込みました。
ブルーレイディスクや放送番組も
自然な4K映像に復元できる
--ブルーレイディスクや放送番組などの2K映像を4K映像に復元する技術の開発にもレグザのエンジニアは力を入れて取り組んできた。
住吉:自己合同性超解像技術や2段階再構成型超解像技術などでノイズを抑制するとともに2K映像から4K映像への復元を行い、クリアで精細感のある映像を再現しています。
西尾氏:レグザで見るアップコンバート処理された映像は、よくありがちな変換ノイズが気にならず、不自然さを感じません。さすが、長年超解像技術に取り組まれてきた技術とノウハウの蓄積を感じます。通常の映像のダイナミックレンジを自然に広げ臨場感ある映像になるHDR復元にも好感を持ちました。
住吉:ニュースやドキュメンタリーなど情報系のコンテンツは、カメラの前に広がる光景をありのままテレビの画面に再現することを目指してきました。一方、映画など作品性の高いコンテンツは、監督や作り手の意図を忠実に反映させたいと考えています。X910シリーズに搭載された熟成超解像やローカルコントラスト復元、広色域復元プロなどの技術にレグザがこれまで蓄積してきたノウハウが詰まっています。
映像の作り手の意図を
忠実に再現できる「よいテレビ」
--時代が求める「よいテレビ」の条件とは。
西尾氏:最近、映像制作者がHDRも含めた4K映像コンテンツの取り組みに本腰を入れてきたと感じます。そうなると、テレビが果たすべき役割もいっそう重要になるでしょう。映像制作者とテレビの開発者の関係は、作曲家と演奏者の関係に近いと思います。作曲家の意図を汲み取った演奏が素晴らしいオーケストラになるように、テレビを開発するエンジニアも、映像制作に携わるスタッフの感性に触れながらアーティストとしての意識を持たなければ良い画作りはできないと思っています。
住吉:映像制作の第一線で活躍するクリエイターの方々から、「私たちが意図している映像が忠実に出せている」と非常に良い反響をいただいています。私たちはこのことをとても誇りに感じています。元のソースに存在していた情報を、細かい所まで正しく再現できることにこだわってきたからこそ、制作者の方々から信頼をいただいているのだと思います。
新しい4K有機ELレグザで
映画や音楽コンテンツを楽しみたい
--大画面の4K有機ELレグザ「X910シリーズ」はこんなユーザーにオススメしたいテレビだ。
西尾氏:X910シリーズの素晴らしい高画質に太鼓判を押したいと思います。シーリングライトなどの調光機能で部屋を暗めに調光して、映画を雰囲気たっぷりに楽しむのも良いでしょう。そして、私の立場から言わせていただくと、ぜひオンキヨーやパイオニアのホームシアターシステムと有機ELレグザを組み合わせて、臨場感や迫力のある映像と本格的なサウンドで楽しんでいただきたいですね。
商品紹介
- ※ 本ページの「4K」の画素数はすべて3,840×2,160です。
- ※ 本ページの「2K」の画素数はすべて1,920×1,080です。
- ※ このページの画像はすべてイメージです。
- ※ Blu-ray Disc™ (ブルーレイディスク)、Blu-ray™ (ブルーレイ)は、Blu-ray Disc Associationの商標です。
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